株式会社設立にあたって決定しなければいけない事項の1つ、
資本金について説明いたします。
資本金とは
資本金とは、事業を始める際に用意された、会社の元手となるお金のことです。
会社法施行前は資本金として必要な最低限の金額がございました。
有限会社の資本金で最低300万円、株式会社の資本金で最低1000万円となります。
しかし、会社法施行により最低資本金制度が撤廃され、資本金1円での会社設立が可能となりました。
とはいえ、現実的に資本金1円とする会社はまずないでしょう。
もちろん手続きとして設立は可能なのですが、法人の銀行口座作成については支障をきたす可能性が高いです。
資本金はいくらにすれば良いか
資本金の額は自由に決めることができますが、資本金1円とする会社はまずないかと思います。
それは、資本金の額は、会社の規模、計画性を見るひとつの指標として用いられるからです。
会社には多くの取引先が必要です。できたばかりの会社には何の信用もありません。
そのため取引先としては資本金がある程度あるかを重視します。
特に、金融機関からの融資をご検討の場合には資本金は重要です。
資本金は、会社の信用度にも関わってきますし、資本金の金額によって融資を受けられる金額も変わってくることもあります。税額も金額によって変わってきます。
資本金による、税額などの違い
資本金の額 | 法人税率 | 事業税率 | 交際費 | 特別償却の適用 |
---|---|---|---|---|
1億円~10億円以下 | 30% | 5.25% | 全額損金不参入 | × |
1000万円~1億円以下 | 800万円まで22% 800万円超 30% |
600万円の90%まで | ○ | |
1000万円以下 | 5% |
他にも、資本金要件が決まっている許認可が必要な事業を始める場合、
決められた金額以上の資本金がなければ許認可を取得できません。
今後行う事業に許認可が必要かどうか、そして資本金の額に要件があるか、事前に調べておきましょう。
許認可による資本金の条件
下記に事業に関しては、資本金に要件が定められております。
許認可事業 | 資本金要件 |
---|---|
建設業 | 500万円~2000万円 |
旅行業 | 300万円~3000万円 |
貨物運送業 | 開業に必要な賃金50% |
労働派遣業 | 2000万円 |
有料職業紹介業 | 500万円 |
貸金業 | 500万円 |
消費税の免税について
資本金が1000万円未満の場合、原則、設立2期目まで消費税の支払いは不要となります。
ただし1000万以上で設立した場合は、1期目から消費税の納税義務が生じます。
※資本金700万円の会社が、1期目の間に1000万円に資本金を増資した場合、
増資した期(1期目)の納税の義務はありませんが、2期目に納税の義務が生じます。
設立3期目以降は、2期前の売上高が1000万円未満の事業者であれば、
通常、消費税の支払いは発生しません。
一方で、2期前の売上高が1000万円を超える事業者は、消費税を支払う義務が発生します。
資本金の証明方法
会社設立時に発起人(お金を出資する人)の個人の通帳を使用することで、資本金を証明します。
※発起人が数名いる場合は、代表者1人の通帳に、他の発起人全員の氏名が載るように振込します。
発起人と代表取締役が違う場合、代表取締役の口座は使用しませんので、ご注意ください。
あくまで、発起人が資本金として、拠出する意思のある金額がいくらなのか?ということの証明になります。
なお、法人設立後には法人口座を開くこととなります。
その際、そこに同額をスライドさせる、という方法が会計上は一番スッキリします。
資本金を払い込む時期
まず定款(会社の基礎となるもの)を作成し、公証役場で公証人と呼ばれる方に認証手続きをしていただきます。
その認証手続きが終了した日以降(同じ日にちでも可)に発起人の通帳に預入、もしくは振込を行います。
資本金の証明をする上で重要なのは、入金日、名前(発起人の名前)、金額(出資額)の3点です。
しかし昨今、その点については厳密に見られず、あくまで定款の作成日以降に、資本金の払込が行われていればOKです。
定款の作成日とは、即ち作成者がそれを決めるものですので、もし資本金の払込を先に行ってしまった場合は、
定款の作成日を訂正しましょう。
次に、「 発行可能株式総数」についてご説明いたします。