<新設法人の口座開設について>
法人を設立した後、まず最初に行うのが法人口座の開設です。
法人名義での銀行口座を開く、ということです。
これを開かないことには法人としての事業活動を始められませんよね。
しかし昨今、法人口座の新規開設は手続きのハードルが上がってきています。
何故、こうしたことが起きるのか?対応策はどのようにすれば良いのか?
本ページにて徹底解説して参ります!
(VALL行政書士法人経由で法人を設立された方で、法人口座がどこでも作れなかったという例はございません!)
<法人口座は何故、作りづらいのか?>
個人名義の口座は、比較的容易です。金融機関によっては、
開設してくれた方に対して、ティッシュなどプレゼントすることもある程に歓迎されることです。
これが法人口座となると、途端に審査が厳しくなります。
まずはこのことを覚えておきましょう!
(知らずに審査で弾かれて落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。。。)
そして作りづらい理由ですが、
これは金融機関側のメリット、デメリットを考えてみましょう。
法人口座は個人口座と違って問題が発覚した時のダメージが大きいのです。
ここで言う問題とは大きく3つありまして、
①反社会的勢力に関連した法人の口座を作成してしまった。
②違法な事業を行う法人の口座を作成してしまった。
③事業実態のない法人の口座を作成してしまった。
というところになります。
一方で、ではメリットは何かというと、
おそらく資本金額と同等程度の入金があるだろう、というくらいです。
金融機関側から見ると、デメリットの方がはるかに大きく映るわけです。
①〜③について、自分はまったく問題ない!とみなさん考えるでしょう。
しかし、金融機関側からすると、これら①〜③についての疑念を100%払拭するのは、大変難しいことなのです。
当たり前ですが新設法人には決算書がありません。
いったいどういう企業なのかを「書面」で知ることができないのです。
これは基本的には書面を重要視する金融機関の審査の仕組みから考えると、
ハードルが高い手続きに映ってしまうのです。
<では、どのように法人口座を作れば良いのか?>
さっそくですが、ではどのようにして法人口座を作れば良いのか、そのポイントを解説して参ります。
①適切な形の法人を設立する!
法人を設立する際には、様々な項目を決めます。
法人口座の作成に影響し易い項目としては、「事業目的」「本店所在地」「資本金」の3つが挙げられます。
また落とし穴として考えられるのが法人の『履歴事項全部証明書』というものです。
こちら法務局にて取得可能な書面です。法人口座開設の際には必ず提出を求められます。
そして、その名の通り、履歴事項が、全部、記載されます。
つまり修正前の情報も記載されるということです!
例えばすぐに資本金を増やしたり、事業目的を変えたりしても修正前の内容がそのまま分かってしまいます。
設立後すぐに変更する場合は、金融機関から見れば怪しい様に映ることもあるので注意が必要です。
なお各項目のポイントを簡単にまとめますと、
A.事業目的・・・あまりに数が多い、許認可が必要な文言が多く含まれていると懸念されます。また昨今、「コンサルティング」や「経営コンサルティング」といった文言を嫌われてしまうことがあります。抽象的であることと、実際の詐欺会社などでも使われていることがあるため、というのが考えられる理由です。
B.本店所在地・・・バーチャルオフィス(本店所在地の住所のみを貸し出すオフィス)だと法人口座が作りづらい、ということが言われていますが、必ずしもそうではありません。
あくまで金融機関側は事業実態がどこにあるのか?本当に事業が行われるのか?を判断軸としているので、その説明がつけば大丈夫です。
C.資本金・・・会社法上は1円以上で設立可能です。ただし考えてみてください。株式会社を立ち上げる際には、20万円程度の実費と、専門家への手数料を支払っていますよね?これらがどこから捻出される資金かと言うと当然、新しく立ち上げるこの会社からの支払いとなります。その際、例えば資本金100円の場合、急に19万9,000円の赤字(債務超過)からこの法人はスタートすることになります。金融機関からすればこんなにバカバカしい法人はありません!
<法人口座の開設に必要な書類>
法人口座の開設にあたって、金融機関側から求められる書類は、各金融機関により違います。
基本的には下記の書類をご準備ください。
すべてが求められるわけではありません。
・履歴事項全部証明書 (法務局にて取得するもの)
・印鑑証明書 (同上)
・定款 (設立手続き時、公証役場より発行されるもの)
・申告受理及び認証証明書(同上)
・法人番号指定通知書 (法人設立後、国税庁より送付されるもの)
・株主名簿 (自作するもの)
・税務署届出の控え (法人設立後、税務署等に提出した書類の控え)
・代表者の写真入り身分証
またこれら以外に、用意すると効果的な書類として、
・事業計画書
が挙げられます。
もちろん必要書類ではありませんので、求められることは稀ですが、
これがあれば格段に法人口座の開設がし易くなります。
理由は、すでに触れてきた通りなのですが、まずはその法人が、
反社会的勢力でもなく、違法なビジネスモデルでもないことの説明になります。
また前項にて述べました、
>いったいどういう企業なのかを「書面」で知ることができないのです。
という部分についてを補完できるものが「事業計画書」であると言えます。
事業計画書があれば、いったいどういう企業なのかを「書面」で知ってもらえるわけです。
<法人口座開設の最新動向>
2019年3月頃から、公証役場において定款認証時に、「申告受理及び認証証明書」という書面が追加で発行されるようになりました。
これはその新設法人における「実質的支配者」が誰で、その人物が反社会的勢力に関連していないかの申告書に関して公証役場が受理しそれを証明しますという趣旨の書類です。
最近では、金融機関がこの書面を、口座開設時の必要書類として挙げるようになってきましたので、忘れずに定款と共に保管しましょう!